無垢材が売れない訳
無垢材どころか突板も使われていない高級ホテルの現状
写真は、南紀白浜のホテルマリオットの1室です。昨年末に宿泊しましたが、無垢材どころか突板(ツキイタ)も全く使われていません。見事というか家具までシート貼りです。
宿泊代金から考えると、何か間違っている様に思えるのは小生だけでしょうか。皆様はどう思われますか?
しかし今年になって小生は、今起こっていることに「間違っていると声を上げてもどうにもならない」と。それは、単に大工等の木工関係だけでなく全ての職人さんが不足している現実を直視して、我々は何ができて、何ができないという様な、前向きな発想が必要ではないかと考えるようにしています。
確かに無垢を使っていただきたいと思いますが、部屋の過乾燥状態から来る無垢材の形状変化の問題、ツキイタを使う場合ツキイタの周りには無垢を持ってくるのですが、ツキイタは用意できるが、無垢材は用意しにくい等の在庫の問題。
色々な課題山積状況の中、森トラストがマリオットグループとのフランチャイズ契約を結んでホテル名をラフォーレからマリオットに変更する時のデザイナーの選択肢は決して間違ってはいない様に思えました。
宿泊代金を御客様から頂戴するため、まず心配りが初めです。そのためには雰囲気作りが必要です。
フロントからロビー、そして部屋等のインフィル部分がありますが、その色合いがシートしか実現(1泊3万円でも無垢材・ツキイタを使えない現実を受け入れること)できないのであれば、ここのデザイナーの選択肢は決して間違っていないと思います。
不燃処理の問題
こんな状況が解っていれば、我々が行動しないといけないことは、各持ち場によって違うと思いますが、消防法で規制が義務つけられている不燃処理の問題ではないかと思っています。設備が徹底的に整備されている現在の新しいホテルに、なぜ昔より規制が厳しくなっている不燃材を使えと強制されるのか小生には解りません。
シートは工業製品です。従って不燃処理のコストは非常に安いです。しかし、シートは決して癒しと安らぎを人に提供できません。無垢とツキイタの融合しか我々は安らぎを味わえないのです。
無垢材は決して火に弱くありません。表面は焼けますが、中までは燃えにくい性質を持っています。
これから進んでくると思われる人工知能と消防設備の組合せで、消防法の中で義務つけられている新しいスプリンクラーが設置されている現場なら、もっと柔軟な規制緩和を行なっていただきたいと思います。
不燃処理のばかげた値段の高さ。
何故こんなところまでするのか等のことは我々材木屋でも一部の方しか知らないことです。
私自身勉強途中です。現実にアメリカ製のツキイタ(厚みが厚く、消防法で規制している為、日本の現場で多く使われていない)が日本に多く出回っていない現実をまず見てください。
従来なら、アメリカ製のツキイタが入ってくれば、日本のツキイタメーカーは仕事が少なくなるという様なマイナスの発想しかないと思います。しかしアメリカ製のツキイタが日本中に使われる前に、日本国内がシート張りばかりになっている現実を見た時、アメリカの外圧を利用したらどうですか。
日本の官僚が一番恐いのがアメリカの外圧であることは誰もが解っていることではないでしょうか。
我々日本人だけで解決出来ないことになってしまっているという状況なら、小生は仕方の無い選択肢だと感じています。
今年は、日本の消防法の中でアメリカと何が違うのかを勉強したいと思っています。